ビキニ事件で、国に賠償を求める



62年前のビキニ事件を巡って新たな動きです。

アメリカの水爆実験で日本の漁船の乗組員が被爆したいわゆるビキニ事件
で周辺の海域で操業していた漁船の元乗組員などが被爆した可能性がある
のに、国が放射線量の検査等を行わなかった等として、今日損害賠償を
求める訴えを起こします。

アメリカが昭和29年に太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験では静岡県
の漁船第5福竜丸の乗組員23人が被曝し、半年後に1人が死亡しました。

弁護士等による支援団体によりますと当時周辺の海域には凡そ千隻の船
が操業していました。

このうち高知県内の元乗組員等が自分たちも被爆した可能性があるのに、
第5福竜丸の乗組員の被爆が明らかになった後も国が放射線量の検査等を
行わなかった等として、損害賠償を求める訴えを起こすことになりました。
原告団には元乗組員やその遺族等45人が加わっています。

元乗組員1人当たり200万円の賠償を求めて今日午後、高知地方裁判所に
訴えを起こすことにしています。
ビキニ事件で、国に賠償を求める訴えを起こすのは、これが初めてです。

今回の提訴について厚生労働省は現段階でコメントできないとしています。
ビキニ事件を巡っては、第5福竜丸以外の船の乗組員も健康に影響が出る
放射線量を浴びた可能性があると指摘する専門家もいます。

放射線被爆に詳しい広島大学の星正治名誉教授は、今回の原告の1人の
元乗組員から歯の提供を受け、被ばく線量を調査しました。

調査は他の専門家とともに行われ、歯のエナメル質の損傷の程度から
この元乗組員の当時の被ばく線量は319ミリシーベルトだったと推定しました。

これは広島県に投下された原子爆弾で爆心地から凡そ1.6キロの距離で被爆
した人と同程度の被ばく線量に相当するということです。

名誉教授は周辺にいた他の船の乗組員の健康に影響が出る放射線量を浴びた
可能性があると指摘しています。

国は第5福竜丸以外の一部の漁船の乗組員を対象に、当時行われた放射線量
の測定結果を記載した記録を一昨年開示しました。

記録には第5福竜丸以外の12隻の漁船の一部の乗組員から通常自然界で被爆
する年間の放射線量の凡そ2倍にあたる4ミリシーベルトを超える放射線量
が検出されたことが記載されていました。

厚生労働省は去年1月に研究班を立ち上げ、この記録やほかの資料を分析して
周辺の乗組員の被ばく線量について今後新たな見解を示したいとしています。