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クロワッサンって贅沢品!? マリー・アントワネットとの関係は?
クロワッサンにカフェオレというのがフランス人の朝食、と思うのは間違いではないが、おそらく
大部分のフランス人はクロワッサンにはありついていないはずだ。

それどころか、焼きたてのバゲットにもありつけない人が多いはずだ。クロワッサンはバゲット
一本よりも高い。だから、これを朝食に取るのは、かなり贅沢なことに属する。何よりも、
焼きたてを望むなら、パン屋さんまで買いに行く人がいなくてはならない。夫婦共稼ぎが
増え、おつかいに行ってくれる子供の数が減っているとあれば、普通の家庭では朝食に
焼きたてのパンを食べるのは諦めねばならない。

時間に余裕のあるのは年金生活者だけれども、倹約に生きる彼らは、まずクロワッサンは
買わない。バターをふんだんに使った三日月形のクロワッサンは、オーストリアからお輿入れ
してきたマリー・アントワネットが持ち込んだものだと言われる。

もともとは課ハンガリーではじめて作られたという。当時、ハンガリーに攻め込んでいた
オスマントルコの旗印、三日月を形どったものか。クロワッサンというのはフランス語で
クロワートル(増える、大きくなる)という動詞の現在分詞形で、これから大きくなる月、
すなわち三日月のことなのだ。

お菓子と小型のペストリーがおいしいことでは、今でもオーストリアのウィーンの右に出るものは
ない。あまり魅力的でもないフランス皇太子(ルイ16世)に15歳でお嫁入りした
マリー・アントワネットに、せめて好物のお菓子やパンを、という毋マリアーテレジア女帝の
心遣いだったかもしれない。

マリー・アントワネットのあまりにも有名な例の
「食べるパンがないというんなら、お菓子を食べればいいのに」という発言の、お菓子は
ブリオシュのことだったというが、クロワッサンでもほかのウィーン風の菓子パンでも、とにかく
彼女が塩っぱいフランスパンの代わりに食べていた物のことなのだろう。

現在でもフランスにはヴィエノワズリー(viennoiserie)という、ウィーン風の菓子パンを売る店が
あって人気を集めている。バゲット・ヴィエノワーズという、ちょっと甘い棒パンも最近流行っている。

マリー・アントワネットの発言も、今では暴動を引き起こすほどのインパクトはないように思われるが、
まだまだクロワッサンを朝食のテーブルにのせられる家ばかりではないのは確かである。
ただし、スーパーなどでは、マーガリンを使ったものが大きな袋詰めで売っていて、こちらの方で
あれば安い。でも、味の方はパン屋さんの焼きたてと比べるのはかわいそう。

では、フランス人の朝の食卓の平均像はどんなものなのか。まず飲み物としてはカフェ・オレ、
あるいはココア、紅茶。これを日本のドンブリを少し小ぶりにしたような鉢になみなみとついで
飲む。どうしてそんなに大きな器で飲むのかというと、まず飲み物に使う牛乳が、シンプルな
フランス式朝食では栄養的にとても大きな部分を占めているということ。

そして、もうひとつは、この中にパンをひたして食べる人が多いからだ。 買いたてのバゲットで
あれば、そんなことはしなくても十分食べられるけれど、前の日の残りの硬いパンだったり、
乾パンであったり、袋入りのビスケットであったりすれば、飲み物にひたして食べた方が喉を
通りやすい。

実際に硬いパンや乾パンを食べている人は多いのだ。忙しい勤め人などは、飲み物だけで
出かけてしまうこともある。約三分の一のサラリーマンが朝食には飲み物しか取らない、という
統計もある。パンを食べる人も、バターを塗って、ジャムなどを上にのせたタルティーヌにして
食べるだけで、実に簡単だ。そこで、力仕事をする人や農家の人などは、と呼ぶ軽い食事を
午前中に取る。

パン、チーズ、ハム、ソーセージなど、その土地や家によって違いはあっても、要するに
たんぱく質を少量取るわけだ。実際、普通の朝食だけでは、エネルギーを使う農作業などは
できないからだ。

私たちはフランスに行けば旅行者としてホテルで、おいしいカフェ・オレ(ドンブリ入りではない)、
焼きたてのバゲット、クロワッサン(これが出るか出ないかでホテルの格がだいたいわかる)などを
食べることができるわけだが、ゆめゆめそれがフランスの典型的な朝の食卓だと思っては
いけないわけだ。  

from:もう一つのパリを愉しむ

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